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ぼくたちの永遠の理念・日本国憲法の危機に際して、夢枕にベアテ・シロタさんが降りて来られました。ベアテさんが亡くなったのは2年まえの今日、2012年12月30日。翌13年の年明けに書いた「天の明星を飲む・ベアテの遺した美しい空気のようなもの」をこの日を機に再掲します。
夢のなかで金魚が聴いただけなのですが、夜が明けたいまでもそのベアテさんのことばをはっきり記憶しています。「日本国憲法ができたのは、まだ先の戦争で亡くなられた世界の数千万人のための葬送行進曲が流れているなかでした。この誇り高い憲法の反戦の理念は、決して日本人のためだけではなく、その戦争で苦しんだ数十億人、すべての人びとの血と涙で絞り出されたものなのです。『戦争放棄』のことばを決して消してはならない。それは人間が生きものとして退化してゆくことです。」 ベアテのお父さんのレオ・シロタが演奏するショパンのバラードにのせて、ぼくたちの永遠の理念である日本国憲法を何人たりとも触れぬように念じて、新しい年を迎えます。 「バラード」を決して「葬送行進曲」にしてはならない。 日本国憲法を起草したベアテ・シロタ・ゴードンの映像を捜すうち、YouTubeのなかに、幼少のかの女が日本で両親と撮った写真を発見した。下の画像、中央セーラー服のかわいい少女がベアテ・シロタ。天才ピアニストだった父レオが演奏しているのはショパンのバラード第4番 Chopin Ballade No. 4, op.52 in F minor。かれは戦後に渡米した折、セントルイスで教鞭を執りながらショパンの全作品を音源として遺している。後ろの日本人男性は作曲家・山田耕筰。レオの演奏はやさしさと素朴で潔癖な感覚が先行していて、それはリストの再来ともいわれた驚異的な超絶技巧に支えられていたという。シロタという姓はユダヤ系のもので、ベアテには日本人の親族はいない。 Chopin Ballade No. 4のYouTubeが消えてしまったので、Chopin Nocturne in B Op. 62 No. 1を貼りました。 ベアテ:1929年に、父はまた山田耕筰さんから、東京音楽学校(後の芸大)に半年の契約で呼ばれました。ウイーンから洋服だけを持って行きました。そうしたら、毎年1年延長の契約にサインしつづけ、結局父は16年間も日本にいました。私も(1939年まで10年間)ずっと日本にいたのです。(「映画 日本国憲法読本」株式会社シグロ p-124 ベアテ・インタヴュー) 16歳になったベアテはカリフォルニア州ミルズ・カレッジに留学。演奏のため渡米した父と再会する。当時の日米間の緊張激化を心配し、母オーギュスティーヌは「このままアメリカに残ろう」と提案するが、父レオは「私を待っている生徒たちがいる」と主張し、両親は一ヶ月の米国滞在のあと日本に帰ってしまう。 このとき両親が乗った船が日米開戦前の日本行きの最後の便だった。帰国10日後に日本軍は真珠湾攻撃を敢行。両親の住む日本とベアテの住む米国の開戦で、これ以後戦争終結まで両親との連絡が途絶えることとなる。 日本のポツダム宣言受諾後、ベアテは両親のいる日本に帰郷するため、GHQの民間人要員(リサーチャー・調査専門官)として採用され、両親との再会を果たす。もし父レオの音楽教育に対する情熱が異常ではなく、戦時中両親だけが日本に戻っていなければ、日本国憲法草案者としてのベアテは存在していなかったかもしれない。 年末「ベアテ逝く」の報は東部時間12月30日夜、BeneVerbaさんのツイートで知った。長女のニコルさんは「母は生前、憲法の平和、男女同権の条項を守る必要性を訴えていた。改定には総じて反対だったが、このふたつ(の変更や削除)を特に懸念していた」と語った。うかつなことに、これまでかの女がマンハッタンに住まれていたことすら気にしていなかった。訃報とともにやっと、数年前(多分一昨年?)ジャパン・ソサエティ NY でキーン先生の秘書氏に紹介され、実に気さくに言葉を交わしていただいた記憶がよみがえった。そういえば同じ場所で映画「アンポ」のリンダ・ホーグランド監督と3人で立ち話したこともある。消滅しかかっていた記憶がだんだん戻ってきた。それも一昨年あたりだったと思うのだが、ベアテさんは実に忙しそうに、元気に奔りまわられていた。とても当時86歳には見えなかった。 とはいえなんという当方の記憶力の散漫。いいわけにするつもりでこんなことを言うのではないが、日本でもかの女のことを意識しつづけていたひとは少なかったのではないだろうか。 そしてかの女たちが起草した平和憲法というものも、ふだんは空気のように意識されないことが理想像なのかもしれない。そしてまた、あるいはそれは空気のように無意識に吸いつづけることさえ許されない、繊細な、不断の勇気の下でしか生きつづけられない、という逆説も同時によぎる。 その女性や弱者にとってのやさしく美しい空気とは、もちろんもともと列島にあったものなどではなく、つい66年前にベアテと当時の占領軍アメリカによって創り出された。現代世界のなかでも画期的な民主/平和憲法なのだが、われわれはその空気を(たった66年だが)あたりまえのこととして吸いつづけてきた。現在のように改悪の危機にさらされている時代にこそ、日本史のなかでこの平和憲法がどれだけ革命的なものだったのかを、もう一度はっきりと意識しつづける必要がある。それ以前の大日本帝国憲法。言うも陳腐だがさらにそれ以前の鎌倉の御成敗式目、江戸時代の武家諸法度は、武士という特権階級のためのもので、民衆に対する規定はなかった。もちろん女性や弱者の地位に関する法律は、日本では飛鳥期以来、皆無である。 強引に改憲を図ろうとする日本の新政権の誕生とからめて、ベアテの訃報に接して、大晦日はひどく落ち込んでいたが、年が明けてからは大きな希望が芽生えてきた。ベアテさんが逝ったことは実に残念だが、そのことによって、かの女が創ったやさしく美しい空気を「皆が意識する」ようになるのではないか。そのきれいな空気を深呼吸し、体中が平和の方向に活性化し、反芻するのではないか。ベアテが星になって、その明星のかけらが、列島のすべての人びと(改憲派も含めて)のそれぞれの口に飛び込んでいくのではないか、と。 ベアテ:ほかのひとになにかを押しつけるときにですね、自分のものよりいいものを押しつけないでしょ。日本の憲法はアメリカ憲法よりすばらしい憲法ですから「押しつけた」とはいえないだろうと思います。日本の国民はほんとうに喜んで受けました。前からそういう権利を望んでいたんです。男性もそうだった、明治憲法には男性もあんまり権利がなかったんですよね。女性はもちろんぜんぜん権利がなかったですけど、男性もずいぶん困っていましたよ。だからほんとうに日本の国民が権利を望んでいたということはよくわかりました。(中略) もうひとつ、外から来た憲法であるから改憲しなければならないと思う人たちがいますが、日本は歴史的にいろんな国からいろんなものを導入し、それを自分のものにして、もっといいものにしたこともずいぶんありますね。たとえば中国から漢字が来ましたでしょ。仏教はインドと中国から。そして陶器、雅楽などがありますね。みんな外から来て日本のになりました。だからいい憲法だったらそれを受けて、いいように使えばいいじゃないかって私は思うんです。 ベアテ:第9条は全世界のために必要であると思います。だから変えないで、ほかの国々にも教えて、モデルとして認めてもらい、それぞれの国の憲法にも入れたらいいのではないかと思うんです。いまはチャンスです。日本が平和の指導者になればいいと思うんです。いまはどこに行っても戦争が起こっているので、新しい考え方で、何かしなければならないと思います。恐ろしくなりますよ。ほんとうに。「わあ、危ない、危ない」っていう感じなんですよね。(「映画 日本国憲法読本」株式会社シグロ p-140- ベアテ・インタヴュー) この、いつまでも新鮮な空気のような美しさは、特に憲法の冒頭に書かれた「前文」にある。この前文はいわば、未来永劫改定されることのない人類としての「原理」を謳っている。これは一見矛盾しているが、憲法を改定しようとする以前に、改定できない平和人類としての原理が存在する。このことばは、はるか昔中学校の社会科の授業で先生が声を大にして語っていた。それを聴いていたぼくら生徒一同は、この前文の「原理」に強く感動し、その前文をこころから誇りに思ったことを憶えている。 日本国憲法前文 抜粋:2. 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 3. われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 4. 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。 ベアテ: 戦後日本は武器を作るためにお金を使わないで、経済のために、もっといいトヨタを作るために、もっといい学校にするために、お金を使いました。そのことで経済がすごくよくなったことを、みんなが忘れているみたいです。武器のためにお金を使うのは、もう「落としたお金」みたいなものでしょ。そしてこんど戦争があれば、誰も勝つことはできないと思います。勝った人と負けた人が同じように潰れると思うんです。だから平和が一番。いま世界で一番大きい重要な問題ですから、日本が平和の指導者になれば、すばらしいことになると思います。(「映画 日本国憲法読本」株式会社シグロ p-145 ベアテ・インタヴュー結び) ひとはさまざまな方法で瞑想している時間、深呼吸をして理性と倫理を取り戻す。どんな種類の瞑想も呼吸法をないがしろにしてはいない。ふだん何気なく吸っている空気というものが、深呼吸している間、まるで星屑を吸い込んでいるようにたいせつなものに思われてくる。その瞑想の時の感覚で、たとえば新しい政権の打ち出した陳腐な改定案を観れば、それがいかに醜く、汚れ切ったものかを瞬間に察知できる。福島の周辺から東日本の空気を汚しているもの、太平洋の水を汚しているものと、即座にイメージが直結するからだ。 平和憲法を守ることは、人間としての尊厳を守ること。ベアテの組み立てた天にある明星のエッセンスを吸い込み、日本人がこれからの平和社会をリードしていくことである。 ベアテの草稿をもとにした憲法条文 抜粋: 第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 2. 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。 3. 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。 第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 2. 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。 2. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。 3. 児童は、これを酷使してはならない。 ―ジャン・ユンカーマン(映画 日本国憲法・監督) 天の明星を飲む(2)につづく
by nyckingyo2
| 2014-12-30 00:58
| 天の明星を飲む
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